家族に感謝の思いを伝える遺言書
① 遺言には「ありがとう」も「よろしく」も書いていい!
遺言書は想いを伝えるための手紙として残しておくこともできます。
基本的に遺言書は土地や建物、預貯金といった財産を、自分の死後どのように分配するのかを決めておくためのものです。したがて、遺言書の本文には、どの財産を誰にどのくらい相続させるのかが羅列されているだけです。
しかし、遺言書には「付言事項」という欄を設けることができます。ここには何を書いてもかまいません。なのでこの部分を使って、ご家族へのメッセージを残しておくこともできます。
「この遺言のとおりにして、家族がもめないようにお願いします。」
「お母さんを兄弟みんなで大事にしてください。」
「いままでいい家族に恵まれ幸せだった。ありがとう。」
このような感謝やお願いの言葉を伝えることで、あなたを失ったご家族の悲しみを癒し、幸せな気持ちにしてあげることもできるかもしれません。
ご家族をうれし泣きさせるような素敵な手紙を書いてみませんか。
ただし、付言事項については、本文とは異なり、法的な効力はありません。
本文に書く相続財産の配分に関する内容と、付言事項に書くメッセージの内容はきっちりと区別して書き分けておく必要があります。
また、あまり長くなるようなら、遺言書とは別にエンディングノートの作成を検討してみてもいいかもしれません。
② 相続で揉めるのは納得できないから!
遺言書の作成にあたって、相続財産をどのように分けるのかはあなたの自由です。
例えば、全くゼロではなくとも、長男に預金の3分の1、次男に3分の2のように定めた場合には、半分はもらえると思っていた長男から不満が出るのは想像に難くありません。ということは、ある相続人の相続分を全く無しにすることもできるのです(遺留分減殺請求をされる可能性は残ります)。
しかしそうなると、もらえると思っていたものがもらえなくった相続人には不満が残ります。相続人間の関係が険悪になったり、ごねて遺産分割をすべきだと言い出すことにもなりかねません。
それを防ぐには、なぜそのような配分になったのかという理由を、相続人が納得できるように付言事項に記しておくことが効果的です。
例えば、全くゼロではなくとも、長男に預金の3分の1、次男に3分の2のように定めた場合には、半分はもらえると思っていた長男から不満が出るのは想像に難くありません。
そのような場合は、ぜひ一言その理由を書いてあげてください。
「長男には大学費用も結婚費用も出してやったが、次男には何もしてあげられなかった…」
「次男は母親の面倒を良く見てくれていた。これからもお願いしたい。」
たった一言でも、思いが伝われば、納得できたり、お父さんの遺志をむげにはできないと矛を収めてくれたりするものです。
たとえ家族であっても、親子で会っても、思っているだけでは気持ちはなかなか伝わりません。
言葉にして遺言書として残し、あなたの気持ちをしっかりと伝えてあげましょう。